COLUMN
COLUMN
COLUMN
COLUMN
COLUMN
COLUMN
COLUMN
COLUMN
COLUMN

LIFE PICTURES

【感想レビュー】ぼくたちの哲学教室

Young Plato -若きプラトンたち-

公式ホームページより

2023年に(日本で)公開されたドキュメンタリー映画の中でも注目度が高く、評判もいい作品をご紹介します。(Filmarksの評価は4.0と多くの方が好評価のようです https://filmarks.com/movies/109078)「哲学」というと何か小難しいことをいろいろ言われそう、、と思う方も多いかもしれません。ただ最近はビジネス界でも哲学の重要性が見直されており「今こそ哲学的思考をビジネスに!」みたいな記事や書籍を目にすることも増えました。「ものをじっくり考える」ことの価値が見直されているのかもしれませんね。

公式HPより

 舞台は北アイルランドのベルファストにあるホーリークロス男子小学校です。これだけで、きっと北アイルランド紛争についてのことなんだろうな、、と察しの言い方は思うかもしれません。私も神妙な気気持ちでスクリーンに向かっていました、、がこの映画の主人公とも言えるケヴィン校長のキャラクターがとにかく良くて、スッと作品世界の中に入っていくことができました。

 進んでいくと、重厚なテーマにも触れていく作品なのですが、冒頭のこの立ち上がり方はとてもいいです。何と言うか、鑑賞者も学校生活の中にスッと入っていける編集になっていて、上手いな!と思いました。

日本人にとって、アイルランドというのはどのような印象でしょうか?アイルランド系労働者階級出身のビートルズ?90年代に現れた英国の巨大ロックバンド・オアシスのギャラガー兄弟?年代によっては、英国からの独立のため、過激な闘争を繰り返していたIRAを思い出す人もいるかもしれません。「荒くれもの」とか「危険な地域」という印象が少なからずある気がします。

 この映画における「哲学」とは「暴力を使わずに物事を解決する」という、とてもシンプルなものです。そしてシンプルな命題ほど難しい。ケヴィン校長はこのシンプルな命題について、とにかく子どもたちに考えさせます。とにかく考えさせる、あきらめずに考えさせ続ける。命令されたことは、命令するものがいなくなればやめてしまいますが、自分で考えたことは根付くはず、という強い信念を感じます。
 カメラはその様子を本当に丹念に捉えていて、何と言うか、学校の職員としてその現場にいて見ているかのような、錯覚すら覚えます。子どもたちがカメラを気にしている素振りが一切ないんですよね。撮影には2年かかったとのことです。

 

公式HPより

ジョニー・デップが実在したアイルランド系マフィアのボス・バルジャーを演じた「ブラック・スキャンダル」。この映画の1シーンでバルジャーは息子にこう説きます「殴られたら殴り返せ」。幼少期に親から教えられたこと、肯定されてきたことを乗り越えるのはとても難しいことだと思います。それでも「対話」によって人は変われるはずだと信じたくなる映画です。

さて、あと余計なことを一つ。スクリーンに原題「Young Plato」が出てきたときカッコいいなーというかジーンと来るものがありました。わかりやすい邦題にして観る敷居を下げるのは大賛成なんだけど、原題を知る機会っていうのもあるといいなと、、。すいません、余計なことですが。

WRITER:

ページの先頭へ戻る