あの名曲たちが生まれたのは…牧場だった
音楽ドキュメンタリーって面白いですよね。国内外で様々作品が作られていて、ビートルズやジョン・レノンにまつわるドキュメンタリーはいくつもありますし、最近ではWHAM!のドキュメンタリー→https://www.sonymusic.co.jp/artist/Wham/info/551858、a-haのドキュメンタリー→https://klockworx-v.com/a-ha/もNETFLIXで観ることができます。もう自分が好きなアーティストでドキュメンタリーになってない人いないんじゃないか?ってぐらいです。いや文句言ってるわけじゃなくて、観ちゃうんです、そしてだいたい面白いんです。というわけで今回ご紹介するのは「ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ」です。アーティストではなく、「スタジオ」を舞台にしている点が独特で面白いです。
私も映像制作の仕事でよくスタジオには行きます。(映像を加工するのは編集スタジオ、音の加工はMAスタジオ、MAとはMulti Audioの略。スタジオが分かれているんですよね)映像業界での略称は「箱」。
スタジオは当然、密室です。スタジオで繰り返し音を聞いていると、何が良いのかわからなくなっていきます。よくミュージシャンがスタジオワークのハードさを語ったりしますが、その気持ちちょっとわかります。集中して作業できるのはいいのだけど、逃げ場がなく、追い詰められていく感じ、、。
このドキュメンタリーはイギリスで牧場を経営していたある兄弟が、音楽好きが高じてスタジオ経営に手を出し、やがてそのスタジオが伝説のスタジオになっていく、、というお話。出てくる面々がすごいです。レッド・ツェッペリン、クィーンはロック好きじゃなくても名前は聞いたことがあるはず。あの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」はこのスタジオで「ポロン、ポロン」とピアノを弾いて生まれたそうです!とまあそんな伝説的なエピソードが盛りだくさんです。
90年代 英国ロックの隆盛を支える
また、ブリットポップ(90年中盤にイギリスで起きた音楽ムーブメント)が私、世代的に直撃してますので、ザ・ストーン・ローゼス、オアシス、ブー・ラトリーズ、マニック・ストリート・プリチャーズとメンバーが映っただけで、ちょっと涙腺が、、
な感じではありました。シャーラタンズは97年のライブを赤坂で見たなーみたいなことも思い出してみたりです。90年代、絶好調だったUKロックを支えていたスタジオだったことがよくわかります。
そんな90年代のUKロックシーンを象徴するのが左の写真ではないでしょうか。今からちょうど30年前、1994年に発売されたオアシスのファースト・シングル「スーパーソニック」のジャケットです。
この場所がまさにこのドキュメンタリーの舞台になっているロックフィールド(扉の向こうに草原が見えますよね)。この後、イギリス全土、そしてアメリカでも人気を獲得するオアシス。若きリアムギャラガーの姿は、後の成功をすでに確信しているかのような佇まいですね。(ちなみに私はオアシス初来日のライブを川崎で見ています。こんなに大物になるなって思ってもいませんでした)
リアム・ギャラガーは、ストーン・ローゼスのジョン・スクワイアとアルバムを制作した、とのニュースもあり→https://nme-jp.com/news/138648/ まだまだ活躍しています。リアム自身が「(ビートルズの)リボルバー以来、最高のアルバム」と豪語していますが、今も基準がビートルズなのが、デビュー当時から全くブレていない。この傲岸不遜さはもはや尊敬に値します。
現代人にとって創造性と場所
2000年代以降、音楽にしろアートにしろ映画にしろ全てのアートフォームにおいて、クリエイションの現場は劇的な変化を遂げました。やっぱりデジタル機器ってとても便利です。かつて音楽において自宅で録音するものは「宅録」と言って、設備がそろってない手作り感がいいよね、っていうふうに思われてました。今やスタジオ録音と自宅録音の区別はなく、映画だって、自宅で編集できちゃいます。ただアーティストとかクリエイターの創造性にとって、「場所」ってとても大事なものだということをこの映画は教えてくれます。wifiも5Gも届かない場所で作品に向き合った方が、いいものできるような気がしますもんね。なんか奥多摩とか相模湖とか、作業に没頭できるアトリエ的な場所が欲しいな、、なんて思いました!
劇場公開は終わってしまいましたが、amazonで見られます!
https://www.amazon.co.jp/ロックフィールド-伝説の音楽スタジオ-キングズリー・ウォード/dp/B09TYDRZ4H