2023年8月に開催されたFIBAバスケットボールワールドカップに出場し、2024年パリオリンピックへの自力出場を決めた男子バスケ日本代表の今までの苦悩や世界との壁、そしてFIBAバスケットボールワールドカップでの躍進を、日本バスケ界のレジェンド田臥勇太選手と佐古賢一さんを含めた総勢15人以上のインタビューと試合映像で振り返るドキュメンタリー映画。4週間限定公開の予定でしたが、公開を延長する劇場が多数あるそうです!劇場情報はこちらから!→https://toei-screeninginfo.azurewebsites.net/theaterlist/02949
バスケ男子日本代表は世界で勝てない
2019年FIBAバスケットボールワールドカップで日本は八村塁・渡邊雄太を中心に歴代最強の布陣で挑むが、世界の強豪相手に5戦全敗32ヵ国中31位。開催国枠で出場した東京2020オリンピックでは格上相手に3連敗を喫し予選敗退。八村塁や渡邊雄太というNBA選手を要しても世界との壁は高く、「バスケ日本代表は世界で勝てない」と世間の声は厳しかった。日本代表を長年牽引してきた田臥選手や佐古さんも世界との差を痛感していた。ましてや、2023年FIBAバスケットボールワールドカップ日本代表ロスターには八村塁の名前はなかった。世間の予想は、今で同様格上相手に勝利することはできず、パリ五輪に自力出場することは難しいというものであった。しかし、男子バスケ日本代表はこの予想を裏切る大躍進を果たす。
ドイツ相手に完敗
2023年FIBAバスケットボールワールドカップ初戦の相手は、世界ランキング11位格上のドイツだった。前半からフィジカルやスキルの差を見せつけられ20点以上の差をつけられてしまう。しかし、日本代表は諦めることはなかった。後半からは自分たちのバスケを展開し、後半だけ見れば32-28とドイツ相手に対等に戦うことができた。この戦いが次戦のフィンランド戦へと繋がる。
信じ続けて勝利したフィンランド戦
この映画のタイトルにもなっている「Belive-信じる-」という言葉が、この映画を通して多く登場する。信じ続けたことで勝利を手にしたのが、フィンランド戦だ。予選リーグの中では、日本の次に世界ランキングが低いフィンランド相手に勝利することが何よりも大切であった。しかし、3Q終了時点で10点ビハインドと厳しい試合展開となる。しかし、彼らは諦めず勝利を信じ続けた。4Q河村勇輝選手と富永啓生選手の若手が大活躍。10点あった差はみるみるうちに縮まり、最終的には10点差をつけ勝利を収めた。格上相手にビハインドの展開が長く続いたが、信じ続け勝利を掴むというストーリーがこの映画全体のメッセージ性を象徴している。
苦しんだ世代の活躍
パリ五輪自力出場の条件である、アジア1位を目指しベネズエラとカーボベルデ共和国との試合に挑む男子バスケ日本代表。高校時代から日本代表として活動してきた渡邊雄太選手は、「もしアジア1位になることができずパリ五輪への出場が叶わなかった場合代表活動を引退する」と今大会が始まる前に公言した。フィンランド戦では若手の活躍が多く見られたが、ベネズエラ戦ではベテランの意地が見えてくる。ベネズエラ戦活躍したのは、チーム最年長である比江島慎選手と負ければ日本代表を引退する渡邊雄太選手だ。この試合も序盤からリードされ苦しい展開が続いたが、4Qで比江島選手のスリーポイントが大爆発し1点差まで詰め寄る。そして、苦しい時期を知っている馬場雄大選手から比江島選手へのパスからバスケットカウントで逆転を果たした。その後も日本代表の勢いは止まらず、9点差で勝利を掴んだ。この試合比江島選手は両チーム最多の23得点、渡邊雄太選手は21得点とベテランの意地を感じた。試合後のインタビューで富樫選手や渡邉選手が比江島選手の凄さをカメラマンに訴えかけるシーンは印象的であり、苦しい時期を乗り越えた男子バスケ日本代表の新たな時代を感じさせる。最終戦、勝てばパリ五輪自力出場が叶うカーボベルデ共和国戦。インタビューでトム・ホーバス監督は「この試合が一番怖かった」と振り返る。この試合日本は今大会初のリードした状態で試合を進めた。3Qまではリードしていたが勝負の4Qで徐々に点差を詰められてしまう。しかし、ここで躍動したのが帰化選手のジョッシュ・ホーキンソン選手だ。流れの悪い時間帯バスケットカウントやスリーポイントで逆転を許さなかった。そして80-71で勝利し男子バスケ日本代表はパリ五輪へ自力出場を決めた。この瞬間を映画館で見ると会場の歓声や雰囲気を体験することができ、10-FEET『第ゼロ感』も相まって1年前の感動を思い出すだけでなく、栄光の裏にある苦悩や覚悟もフラッシュバックし、1年前に感じなかった感情の動きも体験することができる。
パリ五輪はもっと厳しい戦いになる
この映画を見ることで今年開催されるパリ五輪への興味が必ず湧いてくると思う。しかし、パリ五輪は2023年FIBAバスケットボールワールドカップよりも厳しい戦いになることが予想される。オリンピックには12ヵ国しか出場することができず、10ヵ国が日本よりも世界ランキングが上である。しかし、信じ続ければ勝利を掴むことができるということをこの映画を見るとわかる。なので、パリ五輪も日本代表を信じ応援し続けましょう!もし、まだ見てなくて興味が湧いたという方は急いで上映館を調べてみてください!バスケを知らない人でも見終わったら男子バスケ日本代表を応援したくなるはずです!!