2022年2月、ロシアがウクライナ東部に位置するマリウポリへの侵攻を開始。
これを察知したAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフは、仲間とともに現地に向かった。
ロシア軍の容赦のない攻撃による断水、食料供給、通信遮断…瞬く間にマリウポリは包囲されていく。
海外メディアが次々と脱出していく中、彼らはロシア軍に包囲された市内に残り、死にゆく子供たちや遺体の山、産院への爆撃など、侵攻するロシアによる残虐行為を命がけで記録し、世界に発信し続けた。
徐々に追い詰められていく中、取材班はウクライナ軍の援護によって、市内から脱出することとなる。滅びゆくマリウポリと戦争の惨状を全世界に伝えるため、チェルノフたちは辛い気持ちを抱きながらも、市民を後に残し、脱出を試みた…。
（公式HPより）
「この映画が作らなければ良かった」
この作品は、ロシアによる侵攻を受けたウクライナ東部の都市・マリウポリで、戦火にさらされた人々の惨状を命がけで記録したウクライナ映画である。「第96回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞」を受賞しウクライナ映画としては、初のアカデミー賞を受賞した。しかし、授賞式でチェルノフは
「この作品はウクライナ映画史上初めてアカデミー賞を受賞しました。
しかし、おそらく私はこの壇上で、この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう。このオスカー像を、ロシアがウクライナを攻撃しない、私たちの街を占領しない姿と交換できれば、と願っています。
ロシアは私の同胞であるウクライナ人を何万人も殺している。私は、彼らがすべての人質たち、国を守るために戦うすべての兵士たち、刑務所にいるすべての民間人たちを解放することを願っています。
しかし、歴史を変えることはできません。過去を変えることもできません。私はあなた方に、世界で最も才能のあるあなた方に呼びかけます。私たちは、歴史を正しく記録し、真実を明らかにし、マリウポリの人々や、命を捧げた人々が決して忘れ去られないようにすることができます。
なぜなら、映画は記憶を形成し、記憶は歴史を形成するからです」とコメントを残した。
この作品は、海外メディアが次々と脱出していく中、ギリギリまで市内に残り戦況を記録したものだ。あなたは、この命懸けで撮影を続け世界へと発信された奇跡の記録映像を見て何を・誰を思うのだろうか。私たちが平和に暮らしている今、世界のどこかで誰かが死を感じて日々必死に生きている。このリアルをテレビではなく、映画館のスクリーンで見ることに意味があるのではないだろうか。そして、この映像は世界に対してどのような影響を与えたのか知る機会になるかもしれない。
劇場情報はこちらから！→https://synca.jp/20daysmariupol/
